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2013年8月31日

社内SNSって要るの?

「相談したいことがある」
珍しくそう連絡してきた友人Kは、金曜日の仕事帰り、我が家にワインを持ってやってきた。

五反田の会社に勤め、2人の子持ち、埼玉の真ん中へんに住む彼。
いよいよ疲れが溜まったか。。。
やや身構えて彼の一言目を待った。


― 会社でSNSを導入することが決まってさ。


それか?相談したいことって。なんだよ。なんなんだよ。
以前、僕が社内SNS導入に携わったことを話したことがあり、それを思い出して情報を聞き出したいと思ったということだ。

拍子抜けした気分で聞いた彼のミッションは、社内SNSを盛り上げること。
うん、それは無理だ。いや難しいよ。
しかしわざわざ来てくれたのだし、何か気休めになることの一つ二つ持って帰って貰えたらと思った。


外回りする社員を多く抱えるため、コミュニケーション不足を懸念。

SNSパッケージソフトを導入。サーバインストール済み。
現在仕様と運用について検討中。


よくありそうな話である。
魔法のSNSを入れるとコミュニケーションが活発になるらしいと聞いたので入れてしまった。でもいざ運用となり、使われるような気がしない。・・・これは絶対に絶対に使われないパターンだろう。

僕が以前携わった社内SNSについては、「失敗とも、成功とも言えない」状態だった。
Kの会社同様、既に導入することが決まってしまっていて、強引に社内リリースした。案の定あまり使われず、主担当が各部門に利用を促したり、少ない利用者を徹底的にフォローするなど涙ぐましい努力でなんとか使われているように錯覚していた感じである。


さて、逆に社内SNS上でコミュニケーションする理由があるとしたら
なんだろう?

・書いて、みんなに読んでもらうのが好きだ
・知っている人が、自分に関係する記事をアップしている
・社長が投稿状況をチェックしている(なんとなく評価に繋がるような雰囲気)
・社内コミュニケーションの重要性について深く理解し、運営に共感している
・「担当」になったので業務として。(仕方なく)
・業務上のコミュニケーション手段がSNS経由と決められている


もともとSNSを使いたい人は、既にFacebook等を利用して事足りているし、使っていない人は「使わない」という判断をしているのだ。だから、社内SNSの目的が単に「コミュニケーション」だとしたら、わざわざどうして、という話である。
そこに必要なのは、コミュニケーションする目的とゴール設定、そしてその共有だ。

明確な目的と社員への啓蒙というところを基本として、地道に理解を広めていくしかないと思う。それでも「死んでも使わない主義」みたいな人は居るので、強引に「使わざるを得ない」状況を作るかどうか、ということになるが、業務の支障になっては本末転倒だし、そういう強硬手段はとれないのが現実だろう。うまい具合に、利用率の落とし所を作って「使われてまっせ!」と上に報告できるようにするのがデキるサラリーマンであろう。

道具ありき、でその活用方法を考えるのは実に徒労感がある。
流行りのハンマーを渡されたが、釘無しでどう使うか考えるようなものだ。
そして、そういう仕事は実に多い。


結局、酒が入りすぎて後半は何をしゃべったか忘れてしまったが、とりあえずKには自分のFacebookアカウントでも作ってみたらどうか、と薦めてその日は別れた。


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