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2013年11月7日

スティーブ・ジョブズ観てきました



観ている間、ずっと「これは誰のための映画か」を考えてました。

映画という限られた枠で伝えられる史実はほんの僅か。
そこに、ジョブズの人間を描く他、コンピューターエンジニアリングであるとか、会社経営といった高度な要素を時代背景と共に映画にするわけだからまぁ、かなり挑戦的な企画なわけです。で、蓋を開けてみればやっぱり、「ここテストに出るぞ」っていう項目だけを抜き出して繋ぎあわせた感じ。

つまりアップルファン、ジョブズファンのための映画、ですね。
でも熱狂的な信者は、これまたターゲット外。
たぶん、新興のマニア、単にアップルのプロダクトが好き、ってくらいの人がメインターゲットになるのでしょう。アシュトン・カッチャーという餌(そして彼がけっこう似てるというオマケ付き)で、伝記という堅さを隠してターゲットの裾野を広げてる。


別にdisるつもりは全然なくて、むしろ個人的には楽しめました。
若き日のジョブズ、アップルの黎明期、成功と挫折、そして復活に至る「おいしいところ」を気軽に辿ることができたし、「こんな感じだったんだろうな」という想像力も働いて。

僕はアップルのプロダクトは好きだし、モノ作りに徹底的に向き合ったジョブズの生き方にも共感している。でもそこまで熱狂的な信者ではなく、ジョブズの伝記本は未読、という中途半端なファンだったからこそ楽しめたんでしょう。
そしてそういう人は世界中にいる。一定の集客を見込んでの映画化なんでしょうね。

あとこれ、ヒーロー映画ですよね。
周囲の雑音に惑わされず、意志を貫く強さ。ハングリーさ。才能。
強者に屈せず噛み付く反骨。夢を共有する仲間。
男子がDNAレベルで共感できる要素満載なんですね。

理屈をこねず、純粋に、現代のヒーローを回想する。
それがこの映画の楽しみ方です。