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2013年10月30日

混ざり合うと、おもしろい。


八代亜紀は演歌カテゴリの人(と、多くの人に思われている人)なのだけれど、演歌じゃない曲も歌っている。上の動画ではジャズ・スタンダードの「Fly me to the moon 」をしっとりと歌い上げている。ジャズの暗がりの中に、くっきりと「演歌の八代亜紀」の輪郭が見えるのが面白い。ジャズなのだけれど、どこか無所属なジャンルに思えてくるのが新鮮。腕のいい外人シェフが作ったスルメの創作料理みたいだ。違うか。

異なる二者が、互いに主張しながら完全に融け合うこと無く一つのものを形作るとき、思いもしないような化学変化が起き、美しいものになることがある。カテゴリ・ジャンルの枠を思い切って破って歩み寄ったとき、そのハードルが高ければ高いほど、少なくとも、今まで誰も見たことがないものになり得る。


混ざり物ということで話を続けてみる。
テレビをつけると、どうやらハイブリッドな人が流行りのようだ。
ローラにベッキー、ダレノガレ。たしかに、どこの国にも属さない顔立ちは、それだけでミステリアスで生理的に興味をそそる存在になり得るのかもしれない。
オネエタレントも、性別無所属という立場の難しさを乗り越えた心強き者の象徴として、達観した発言が不思議な説得力を生み出しているように思う。

人間は理解しやすいように、ものごとをカテゴリ化する生き物である。情報過多の時代だから、そのカテゴリも増えてきて、もう何がなんだかわからなくなってきた。それでも、「これは、あれに属するもの」という見方が捨てられないから、「どこにも属さないもの」が物珍しく見えたりするのだろう。もう、そういう生理的なレベルでしか、興味をひくことができなっているのかもしれない。


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八代亜紀

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