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2014年1月3日

ずるいけど、すばらしい「永遠の0」



永遠の0、観てきました。

小説は読まず、事前情報も0。
戦争映画と邦画はほとんど映画館で観ないジャンルなのですが、家族の総意ということで、あまり気乗りしないままの鑑賞。

「史実を基にした戦争映画」って、あんまり踏み込んだ共感ができない自分がいます。たとえ忠実に映像にしても、かならずそこには作者の「解釈」、フィルターみたいなものを通るわけで。完成した小説なり映画が多くの人に消費されて、創作なのか史実なのかがごっちゃになってしまう感じが何とも気持ち悪いなぁと思ってしまうのです。

それでも、いやー、良かったですよ。
小説がヒットした理由がわかりました。
男の強い意志と家族への想い、それ故に被ることとなった不名誉。
子孫による情報収集で、名誉を取り戻しながら、故人のメッセージに辿り着く・・・。「泣いてまうやろ」要素満載。これはずるい。もう勘弁して下さいっていう展開です。涙が出ないわけがありません。


最初に史実が云々といいましたが・・・
やはり、今一度、この巨大な「過ち」を、広く、鑑賞者への涙腺刺激と共に訴求することは、非常に意義のあることなのではないかなぁと思いました。戦後70年近くが経過し、語り手も少なくなった今、だからこそです。この映画はそのへんの使命を帯びていることを重々承知のようです。

まず、ジャニーズタレントの起用で鑑賞者ターゲットをぐっと広げている。(それだけだったらボロクソに言うところですけど)そしてストーリー。隔たりのある現代と戦時を「体験者のインタビュー」という演出で繋ぎ、息のかかる、地続きとしての歴史を強調しています。加えて、戦闘の恐ろしさを伝える、高度かつ華美すぎないCG。一言で言えば、バランス感覚に優れた(空気の読めている)映画という感じでしょうか。岡田准一さんの演技も良かったですが、僕は新井浩文さんて人が良かったなぁ。限界ギリギリの状況で見せる、強さの下に隠されていた弱さと狂気の発露、そして優しさ。


2014年、スタートで勢いをつけるのに良い映画を観られました。
今年もよろしくお願いいたします。