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2013年5月29日

ポールって凄いんだね。と今更確認させられた。


今更スポットライトを当てるからですよ。
って書くと熱心なファンに怒られそう。でも正直、ビートルズ解散以後のポール・マッカートニーはあまり聞いてなかった。「My Love」とか、スティービー・ワンダーと共演したやつとか?
「ビートルズ以降」のポールの楽曲はどこかパンチが無いように思っていて、全く手を出していなかったのです。80年代に入ると音がパサパサしてくるし。似たような人、けっこういるんじゃないかしら。

でもそんなイメージが180度変わっちゃったよ。という話。
ポールすげえ。まだドキドキしてる。
今回再リリースになった「ROCKSHOW」というのも初耳でした。
ポールの1976年のライブドキュメント。
映像や音源がすでに廃盤だったのですね。廃盤じゃなくても聴かなかったかもしれないけど・・。
この度、例によってデジタル・リマスターされたからまた買おう!というキャンペーンを目にして、ちょっと気になったのがきっかけです。レコード会社してやったり。いいんです別に。

で、今回は音源のリリースとともに、映画館での特別上映もある、ということを知り、映画館に行った次第。ポールには興味ないのに?宣伝も気になったというのがあったのですが、ライブ映像を映画館で見る、ということそのものに興味を持ったのでした。今は音響すごいですからね。映画館でポールに逢いたい、というのは全然ありませんでした。
かくして「ビートルズ大好き」を公言して憚らない「にわかポールファン」たちを誘って劇場観覧することに。

観た感想としては書いたとおり。すごいわこの人。
以下、「今までステレオタイプで知らなかったポイント」を挙げます。
(1)
ステージから発散されるエネルギー、スターっぷり。

おじいちゃんになってからのライブ映像は見たことがあったのですが、若い頃のソロライブを観るのは初めて。当たり前だけど、瑞々しい声のハリや他のWingsメンバーと対比したときの際立つ存在感。何より「自信あるぜ俺」顔。ギラギラした表現欲求。純粋に元気もらえるのです。これはビートルズ時代の映像からは感じたことがなかったなぁ。
(2)
ポールのベースの音色の楽しさ。
何かこう、開放されていて、躍動感があって。「Silly Love Song」なんてもう最高。そもそもベースってバンドの中では目立たないことが多いけど、知らず知らずベースラインを追っちゃう自分がいる。音源だけじゃなく、演奏はやっぱり映像で見るべきですね。
(3)
ボーカリストとして凄い。
とにかく「声、もつなぁ。」と。
最初から最後まで、かすれること無く、がっつり歌いきります。自分もライブで歌ったりすることがあるのでなんとなくわかるのです。アスリート的視点です。
体力的なところだけじゃなくシャウトの声の心地よさは全盛期(News of the Worldあたり)のフレディー・マーキュリーを連想しました。
(4)
楽曲の多彩さ。スタジオ録音だとあまり感じないけど、ライブで見ると実感。ベースラインとともに、展開や曲調が本当に多彩。それを28曲。周りのメンバーは大変だったろうな・・・。
(5)
人間が凄い。
あとで調べて知ったのですが、ソロになってこのライブに至るまでは批評家に酷評されてきたらしいですね。どんなきつい批評だったのかはマニアでないのでわかりませんが、ともかくポールはソロのキャリアを波乱の中でスタートさせ、Wingsを結成。バンドとしてのキャリアをまた0から積んでいきながら、再びヒットチャートに返り咲き、絶頂を迎えて臨んだのがこの「ROCKSHOW」だったのですね。


どうして、あれだけの成功を、あれだけの才能を持った人が、こんな苦労をするのだろう。と、私のような凡人は考えます。でも、だからこそ、なのですね。
自分の才能を理解し、可能性に確信をもっていながら、ビートルズという枠組みでは体現できず解散してしまった。30歳。人生これからというとき。すでに商業的成功を身に刻みながらも、自己実現の渇望があったのでしょう。執念にも近い情熱。そして周囲を巻き込み、共に高め合う牽引力、実行力。創造力。
“ツアーが大成功を収めつつ、終わったとき、ポールは嬉しさのあまり泣き崩れたと言われている。”―Wikipedia
ほれてまうやろ。
ポールの才能と努力、若いパワーが目一杯つめ込まれたライブ。ほんとうに、良い物を見せてもらいました。劇場行ってよかった。

さて、DVDリリースは2013年6月11日とのこと。
庶民のベストチョイスは輸入DVD。このライブは映像と共に観たほうが良いです。中途半端はよくない。
最安はイギリスAmazonの£11.75(2013年5月現在)送料込みでも¥2,139。ただし6〜10営業日かかると。